2024.04.15
新入社員の「個」を尊重し、歩み寄る – 田中淳子の『人材育成』応援ラジオ 書き起こし

本記事では、トレノケート株式会社で配信しているVoicy番組 田中淳子の「人材育成」応援ラジオ から、好評をいただいた放送をピックアップして文字としてお届けします。
音声でお聞きになりたい方は、Voicy内チャンネル をご覧ください。
田中淳子の「人材育成」応援ラジオ とは
自社の人材育成を考える上でヒントとなるようなちょっとした知識やスキル、具体例など、人材育成にご興味・関心がある方向けに役立つヒントを毎日約15分でお話しする音声配信番組です。パーソナリティは、人材育成に携わって38年、人材教育シニアコンサルタントの田中淳子が務めます。
今回は、トレノケート株式会社の社員との対談回
#157 リモートネイティブな新入社員を受け入れる側(人事、管理職、OJTトレーナー)へのアドバイス。【対談(後編)/芝山賢(IT講師)】
を取り上げます。
後編では、コロナ禍で学生時代を過ごした新入社員の方たちをどう迎えるかについて、クライアント企業様向けの新入社員研修を約30年間担当している芝山賢(しばやま・さとし)と、インタビュアーの田中淳子が互いの経験を通じて語っております。
※なお、読みやすさを意図して、会話の内容、趣旨を変えずに表現などを一部変更しています。
INDEX
目次
個々の適性・キャリアを尊重し、本質に目を向ける
ITは継続するといずれ理解できるタイミングが来る
コミュニケーションへの感覚が異なる前提で、歩み寄る

田中 淳子 (たなか じゅんこ)
トレノケート株式会社 国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー
ビジネススキル全般のコースを担当。新入社員研修からリーダー層、管理職層まですべての人材開発に携わる。2018年度からは「1Day REAL」シリーズを立ち上げ、「1日で学べる超実践的コース群」を充実させるプロジェクトを推進中。近年は、「全社モチベーション向上研修」「全社キャリア開発支援研修」など、「全社員向けの施策」のコンサルテーションから入り、研修とその後のフォローまでに関わっている。組織をより良くするとともに、働く個々人がよりハッピーになるお手伝いに力を注いでいる。
著書:はじめての後輩指導、ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方 (共著)、事例で学ぶOJT: 先輩トレーナーが実践する効果的な育て方

芝山 賢 (しばやま さとし)
トレノケート株式会社 Microsoft Certified Trainer (MCT)
IT講師歴30年以上。講師業だけでなく、研修の企画・教材開発、ITSSやiCDをベースとした人材育成体系の構築支援など人材育成関連業務に幅広く従事。特にトレノケートが提供する新入社員研修には様々な役回りで25年以上携わっている。ビジネスマナーからプロジェクトベースの演習まで幅広く可能なほか、企業に合わせたカスタマイズ対応や状況に合わせた講義の進行など、柔軟な対応を得意とする。
個々の適性・キャリアを尊重し、本質に目を向ける
田中
この番組を聞いていらっしゃる方には、企業の人事部や人材育成担当のご担当者様、そして現場側の管理職やリーダーの方たちも多いと思います。そういった方に向けて、新入社員研修を約30年間担当されている芝山さんから、アドバイスがあれば教えてください。
芝山
はい、これは私自身も気をつけないといけないことですが、新入社員の方を世代でくくったり、研修全体の中での立ち位置や見え方だけで判断したりせずに、お一人お一人の本質を見ていきたいと思っています。
積極的な方でも、研修ではどうしても周りの雰囲気を見てしまって自分を出せないこともありますし。一方、その方には向いてないにも関わらず、就職活動中のワークショップなどで積極的に発言したり、リーダーシップを取ったりするよう指導されている例もあると聞きます。それをただ「大人しい=積極性がない」とか、「頑張って発言している=リーダーシップがある」のように全体の中で見えた一面だけで判断してしまうと、本質を見誤ってしまいますよね。
ですので、新入社員の方お一人お一人の経験や背景にまで思いを馳せて、寄り添っていく必要があると考えています。
そのためには、全員で同じ方向を向き、同じ到達点を目指すような昔のやり方はそぐわないと思いますし、私たち(※ベテランという意味です)の通ってきた道や経験こそが正しいと従わせることはしたくないですね。
「ついてこい!」と引っぱるのではなく、背中を優しく押してあげられる方がいいのかなと思います。
田中
そもそも「個」を生かすマネージメントが支持される時代になっていますよね。一人ひとり異なるキャリアを歩む前提で関わろうということですね。
芝山
そうですね。そのためにも、元気が良い、積極的に発言する、だからリーダーに向いている、といった表面的な判断はあまりしないようにと思っています、自戒を込めて。
ITは継続するといずれ理解できるタイミングが来る
田中
約30年間、新入社員研修を担当されてきた芝山さんには、現場で心が揺さぶられたエピソードがたくさんあると思います。その中で忘れられないエピソードを1つ挙げるとしたら何でしょうか?
芝山
私は新入社員研修で開発・プログラミングを担当することが多いのですが、研修開始当初はプログラミング経験者から教わっていた初学者の新入社員の方が、努力の末、最後のプロジェクト演習で教える立場へと逆転したのを目の当たりにしたことですね。
田中
研修から数年後の話ではなくて、研修期間中に?
芝山
はい、その3ヶ月ぐらいの間に。もちろんその方の努力や勉強ありきですが、ものすごい成長ぶりを見ました。今でも記憶に残っています。
田中
そういった場面に立ち会えると、また新入社員研修をやめられなくなりますね。
芝山
やめられないですね。
プログラミングは、最初は低空飛行だと感じても、いつか理解できて成長するタイミングが来る。だから、わからなくて辛くても続けてください、と研修では話しています。プログラミングだけでなく、IT全般に言えますが。
田中
IT専門職の新入社員の方たちと接していらっしゃる芝山さんのご意見ではありますが、今はDXの推進に伴ってデジタル人材を求める企業が増えていますから、IT企業に入らなくてもITに触れざるを得なくなっていますよね。
先程おっしゃっていた、最初とっつきにくく感じても、諦めずに取り組んでいるうちにきっと理屈やメカニズムがわかってくるというのは、これからの新入社員の方たちに広く知っていただきたいですね。
芝山
はい、そう思います。
よく言われることですが、やり続けるといつかは花開くと信じています。
田中
今日の対談も面白かったです。芝山さん、どうもありがとうございました。
芝山
はい、ありがとうございました。
コミュニケーションへの感覚が異なる前提で、歩み寄る
田中
前回・今回と2日にわたり、トレノケート株式会社で約30年間新入社員研修を担当している芝山賢との対談をお届けしました。
前編では芝山のバックグラウンドと新入社員研修の魅力を聞いた上で、ポストコロナ時代の今だからこそ新入社員研修で工夫していることを語ってもらっております。
その時にも触れましたが、コロナ禍以前は対面でのコミュニケーションが当たり前でした。毎日出社して、お酒を飲みながら慰め合ったり、喫煙室でいろいろな社内事情を共有したり。
一方で、今の新入社員の方は、大学生活の途中でマスク着用が始まり、対面授業やゼミ合宿もなくなったタイミングがありましたよね。
そういう方たちと私たちとは、コミュニケーションに関する感覚が違うはずなんですよね。それぞれの経験が違うだけで良し悪しはありませんが、「何でそんなことを言われるんだろう」といった違和感はお互いに抱いていると思います。
以前、法政大学キャリアデザイン学部の廣川進(ひろかわ・すすむ)教授と実施したセミナーでも話に挙がりましたが、例えば、リモートワークで充分業務を遂行できると考えている若手社員には、対面の価値がわからないかもしれません。
そこで「当たり前」とばかりに出社を言い渡すのではなく、出社する理由や価値を説明した上で、オンラインで出来る仕事だとしても「今回は特に出社してほしい」と伝えて理解してもらう。
そうやって対話することが大事ですよね。
この対談後編でも、新入社員の方それぞれの本質に目を向けるために、「個」に寄り添って接するべし、との芝山からのアドバイスを聞くことができました。
今回の芝山も含めて、トレノケートは人材育成に熱い情熱を持った講師陣が多数在籍しております。社内の人材育成にお悩みの際は、ぜひトレノケートにご相談ください。
https://www.trainocate.co.jp/info/company/instructor.html